41)人のふんどしで相撲を取っていた

店には店長の知り合いでゆうちゃん(当初28歳)がいつも遊びに来ていた~彼は誰にもよく話しかける気さくな性格だ~ある日<マネージャーはどんな女性が好み>と聞かれたので~どちらかといえばポッチャリかな~と答えた~
それから一週間ほどが過ぎた営業中~ゆうちゃんが声をかけてきた~マネージャーを好きだという女の子がいるので話をしてほしい~一緒に行こうと誘ってくる~まさか~冗談・冗談と一笑して断った<そんなことはあり得ない>
だが彼は手を引っぱって行こうとするので、まあ~いいかお客さんに挨拶でもしておこうと席には着くが~これと言った会話もないので挨拶言葉だけで席を離れる~ところが閉店間際にゆうちゃんが再びやってきた~あれ~まだ居たんだ~

彼女達が待っているから一緒に付き合ってくれという~
彼は上手の策士だった
それは一度だけではなかった、その都度にもういいよと断るが~彼は積極的だった・又か~と言いつつ~結果は全てが彼の思惑通りになっていた~
その頃は考えてもみなかったが~数年後にふと思い出し~ハッと気づいた、これは彼の策略にはまっていたんだと~何のことはない~
<彼は自分の好みの女性を見つけては・ナンパしていたのだ>
こう言ったに違いない、マネージャーが貴女のことをすごく気に入ってると言ってる~呼んでくるから話をしてくれないか~そうしておいて・お目当ての女性にアプローチをかける<おいらはただの餌だった>
😅やられた~人のふんどしで相撲を取っていたんだ~

彼は上手の策士だったんだ~うまくいったのは何も知らずに多くを語らなかったから・だろうか。
42)バンドのオーディション
店は順調だしDJも慣れて楽しい日々が続いてた頃~プロダクションの招待でフィリピンに行くことになった~バンドのオーディション見学だとか~

初めて海外へ行った
主任の辻君と機内の小さな窓から雲を眺めながら~やがてマニラに着陸した、空気を吸うとやはり匂いが違う~昔の日本はたくわんのニオイがしたという・やはり国によって匂いが違んだ~
空港ロビーを出ると数人の子供たちが寄ってきた~20人以上はいる~それぞれ散らばってマネーマネーと発しながら近づいて来ては手を引っ張っぱたりする・
子供の頃を想いだした
小学6年生の時に同級生に誘われて博多駅に行った、改札口から出てきたアメリカ兵にチェイン・チェインと言えばお金が貰えると云う~何人かに声をかけたが貰えなかった~貰った子供もいた~
当時~福岡の板付空港は米軍基地があって米兵が駐留していた~1ドルが360円の時代なので米兵にしてみればドルは日本円の3.6倍の価値だ~。


マニラのホテルに着き外に出ると広々と樹木が茂っていた~そんな中に一人の男が何かをするのでもなく立っている~翌朝に窓を開け外を眺めると昨日の男がバケツの水を体にかけている~えっ~彼はここで寝泊まりしてるんだ~
バンドのオーディション
朝食のバイキングを終えて迎えのマイクロバスで会場へと向かう~マニラホテルの大広間は大勢の人達でごった返していた<ゲスト席は最前列だった>他県からの招待客も20人ほど~後部には現地の人達が立ち見で入りきれない~これはマニラで年に一度のオーディションなんだとか~
プロダクションからプログラムを貰い~関心のある出演者の時だけ見学しよう<歌手・劇団・バンド・コント・手品>と何でもありのオーディションだが・肝心のバンド演奏がない~
個別に楽器設置とか時間もかかり無理なのか<来た意味はないが>ステージでは聞き惚れるほどの歌手もいた~シェイクスピアの悲劇のワンシーンを目前で演じる~劇団員の迫力は凄かった~

マリアさんと知り合った
二日目の休憩時だった~会場に入れないので通路で音や雰囲気を楽しんでる人の中に、なにか戸惑っているような女性が居たので~なにしてるの~と声をかけた~
外に出て話をすると明日に私の家に来ませんかと誘われ~時間も余っているのでいいよと返事をする~翌日に彼女の家に行き~昼食を戴くことになった~お母さんが料理を作ってくれた~
魚の煮付けと少々のおかずを戴く~6才位の男の子が傍でジッと魚を見つめてる~そうなのか~これはごちそうなんだ~と感じたので魚を半分残すと嬉しそうに食べてくれた~6畳の部屋・土間・三畳の板場・子供は土間で寝てるようだ~温暖気候なので楽なんだろう~フィッリピンの家庭を見せてもらった。


動物園に案内してくれた~孔雀・ワニ・象はいたが種類も数も少ないが・人で賑わっている・家族連れの子供たちは嬉しそうに楽しんでる、感じたのは子供の表情がキラキラと輝いて見える、なぜなんだろう~皆さん素朴で笑顔を返してくれる・のんびりできて良かった~
43)モノの価値観は人による
新しく入れ替わったフィリピンバンドのリーダーはテナーサックス奏者だった~おいらもテナーサックスを持っている・博多のクラブにいた時~ゲスト歌手に楽器をやりなさいと勧められ~
その気になってローンで SELMER・テナーサックスを買ったのはいいが~音が大きく練習場所がない・海か山にでも行かなきゃ~結局は”ドレミファソラシド”を覚え~飾りモノになってしまった
手作りのテナーサックス

リーダーのサックスを見せてもらうと~かなり古びてボロボロだったが、彼には精一杯の買い物だったに違いない、おいらがサックスを持ち続けても<宝の持ち腐れ>で終わりそうだ~売ればお金にはなるが・お金は使えばなくなる・モノ・
彼に譲れば”一生の宝物”フィリッピンでは贅沢税が加算されて実際価格よりも高額になるとか?とても手を出せる品物ではない~当時のフィリッピンは¥6,000で家族が生活できた。
とりあえずリーダーにテナーサックスを見せた~すると手作りの年代物で希少価値が高いと言う・彼には唾涎のものだった!
そうなのか~じゃ~君の持ってる何かと交換しよう・彼の腕時計は屋台商品だったがタダで渡すよりも気持ちは楽かも~と交換した・彼が持てば価値観も上がる・国へ帰れば売るかもしれない~売れば家が買えるかも知れない・ならばそれでイイ~おいらの飾り物よりもマシだ~
フィリピンバンドの追っかけ女子
フィリピンバンドには追っかけの女の子が多くいる<バンドマンに憧れた彼女たちは帰国の際に一緒について行く>現地で出産した子供たちは何千人もいる~そんな女の子も今ではおばあちゃんになって孫がいるんだろうな~
逆のケースもある、日本に歌手やダンサーで来日し、日本人と結婚したフィリッピン女性も数多い、マリアさんもその一人になる~あれも人生・これも人生『色んな生き方がある』
44)その人は偉い人だった

ディスコのお客さんは当然の如く若い人が多い~その中に場違いな人がいた~見るからに土木建築業の社長そのものだったが・やはりそうだった・挨拶をすると言葉が返ってきた~
会員制スポーツ倶楽部の女性インストラクターがディスコに行きたいというので連れてきたとか・当人は踊りは苦手で見るだけ・時間を持て余しているようなので会話に付き合った~
一週間後にまた来店されたのでこの時も言葉を交わす<3度目の時だった>実は東京に用事があるんだが車を運転してくれる人がいないんで困ってるんだと言う・じゃ~お手伝いしましょうか・と<久しぶりに東京に行って見たくなった>


久しぶりの東京行きだ~
約束日の閉店後~午前一時過ぎに出発~車はアメ車のフォードマスタングだった~やはりハデな車がお好みのようだ・女性インストラクターも同乗していた~さあ~行きましょう~阪神高速を走ってると<何時ごろに着くかな~>と尋ねられ~7時半くらいじゃないですかと答えた~
京都から栗東過ぎると前日の雪が溶けて氷水になっていて車が横滑りした~オットーこれはハイドロプレーニング現象だ(タイヤと路面の間に水膜ができ車が浮く)危ない~

いつも高速道路を走る速度は110kmが一番楽なんだが・この速度はハイプレ現象が起きやすいので~90kmにしよう・コレで滑りはなくなった~後部座席ではウトウトと眠りに入っている。
都内に着いた~計算通り7時30分(なぜかよく当たる)場所は赤坂のマンションだとかで地図を広げる・地図は得意な方なので難なく行けた~約束の時間は11時半なら~まずは喫茶朝食をとり少しばかり仮眠を取ろう~


その人は大物政治家だった
11時過ぎに近くの駐車場に車を止め~誰と会うのですかと問えば元衆議院議長の松田竹千代さんだとか~へえ~こりゃあ驚いた~政治家に会うのは初めてだ~それも大物だ~どんな人かな~?
重厚な高級マンションに入りドアーが開かれた~奥さんはご年輩なのにシャッキとして姿勢が良い~応接室へ案内された~応接室の対面ソファーに座って二人で待っていると元議長さんがやってきて正面に座った~

あ~この人は後光が 差して見える ☀ 姿勢も動作もスキがない~
☀ 後光が差して見えたのは窓の光を背中側に~座る位置を計算づくなんだろうか?スゴイ・
社長はご挨拶ですとおみやげを渡した~奥さんは何かご用意しましょうかと元議長さんに声をかけると<いつもの B を頼む>ハイかしこまりました~そつのないしぐさに感心をする・
そして二人の会話が始まり~選挙の話のようなので興味はなく~室内の雰囲気をそれとなく観察した~ソファーや家具の品定めや位置取り~周囲の装飾物に自然と目を向ける~

間もなくすると~いつものがBが届いた<うな重だった>なんとなくAではなくBなんだと感じる・社長はいきなりガツガツと音を立てて食べ始めたが・おいらは静かに戴いた。
一時間半ほどの”瞬間”だったが何か貴重な体験を得たように感じた~それにしてもご夫婦の姿勢の良さには驚かされた<この時78歳ほど・年齢とはほど遠い威厳がある・こんな人に出会ったことがない・これが政治家なのか~
奥さんはお客様の前ではご主人の威厳を大切することに留意するが~お二人の時には睦まじく仲の良いご夫婦ではないかと察した~高齢のご夫婦にそのような感覚を受けた~
松田竹千代さん
1888年生:大阪泉南郡出身・岸和田中学を中退し<14歳でアメリカへ単身渡米>各地を放浪し・1911年<ニューヨーク大学に入学・卒業>1928年に議員当選し・政治家になる。
社長が元議長さんに渡したおみやげ<あれはなんとなく・マスコミとかでよく出る>選挙はお金がかかるという~菓子折りの中は・もしかして・お札入りだったのかな~<選挙の挨拶にお供した>

人を見る目線
会話の終わりごろに元議長さんから・おいらに声がかかった~君は女性票が取れるな~何も考えず一礼をする~なるほどそのような目線で人を見るんだ~
同じく博多で35年ぶりに会った同級生は長年に貸金業を営んでいた~彼いわく・道を歩いていても<あの人はお金を借りる人・あの人は借りない人>を見分けられると言っていた<面白い>職業観察も長期に至ると~その様なことが・身につくんだ~
麻雀に誘われたが~
閉店時に店長に声をかけられた、知り合いのところへ行くんだが付き合わないかと~そこは小さな事務所で5人いた<どうやら何とかの組事務所のようだ>店長はその中の二人と話し込むが・おいらは何もすることがなく・誰かが麻雀をやろうというので参加した~
やり始めるとと手元の配牌が一枚足りない<あれ~どうして・少牌してる>これじゃゲームにならないので流れるまで放棄しよう・こんなことはあり得ないのだが~

なにかおかしい~注意深く確認しつつやってみたが<やはり少牌か多牌になっている>ごまかすのが嫌なので三度も満貫分の罰則を払うと~一番若い人も少牌で一度罰則を払った~この人は真面目なんだ~と感じ~
これは誰かが仕掛けてる~と思ったので<頃合いを見計らって辞めた>仕掛けたのはそこのトップだろう~二番手の男は知って擁護をするだろう・ゲーム自体も流れが多かった~イカサマを仕掛けて上げりも出来ないほどに・ここのお頭は下手なんだ~
イカさまをやれば誰が仕掛けたのか~冷静に考えれば解る<信用をなくし恥さらしの自分が見えないようだ>それとも信用なんてどうでも良いと思ってるのがこの業界なのか~真意はわからないが・この人達とは水が合わない~


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